474 かたまりをほぐす

あなたはリーダーとして、部下の話を、質問によって、自分の中で「絵」になるまで具体化していくことが重要です。

人は自分の過去の体験をひとつのチャンク(=かたまり)にして脳の中にストックする傾向があります。ですから、「ハワイ旅行どうだった?」ときいたとき、いきなり具体的にあそことあそこに行ってこんなことをしたと話しはじめる人はあまりいません。とりあえず「すごく楽しかった」とか「まあまあだったね」とか、その体験を代表するひとつの言葉で答えます。相手と関係に安心感が少なければ少ないほど、この傾向は強まります。

ところが、ここで相手の抽象的な答えに対して「そうですか」と一言返して終わってしまったり、「ハワイっていいとこだよね、僕も去年いってさあ」といきなり自分のこと話しはじめたのでは、相手のチャンクの中身を知ることは永遠にできません。

そこで登場するのがチャンク・ダウン(かたまりをほぐす)というスキルです。相手の言葉のかたまりを具体的な言葉にほぐしていってあげるわけです。「すごく楽しかったって、具体的にはどんなことがあったの? 教えてよ」「うん、ゴルフコースに出たんだけど、それがすごくよかったんだ」「そうなんだ。どんなところがよかったの?」「海岸に隣接しててね…」

相手のかたまった言葉を受けて、それをほぐす。またかたまりを見つけて、ほぐす。相手の話を自分の中でどんどん絵に置き換えていくというプロセスの中で、「まだここがはっきり絵にはならないな」という部分を質問にして返していきます。これを繰り返すことで、相手のチャンクの中味を詳細に知ることができます。また、相手はとても深く聴かれたなと感じます。

「あの案件はどうなっている?」という質問に「ちょっとうまくいってないんです」という答を部下が返してきたとき、「うまくいってないじゃわかんないだろ! なにがダメなんだ!」と詰問してしまったのでは「うまくいって ないこと」の中味を知るのはとてもむずかしいでしょう。

質問には、まず部下はチャンクで返す、そのチャンクをときほぐすのは上司としての自分の役割だ、そう最初から認識していれば声を荒げ詰問することもなくなるでしょう。

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